第4分科会解題
「サステイナビリティとエネルギー・科学技術」



1 最多時の参加者は60名程度、学者研究者、技術者、生協関係者、医師、婦人、学生、弁護士、文化関係者などじつに多様で、今回のこのSS全国集会を象徴するような雰囲気であった。エネルギー問題は、温暖化対策がいかに緊急を要するか、を力説した泉報告、日本のエネルギー政策が異常なまでに原子力に特化していることを財政面からリアルに分析した大島報告をめぐって活発な議論が展開され、原子力発電技術の環境安全問題を中心に新しい原発技術、核融合発電にまで及んで議論された。


2 化石燃料からの脱却が原子力以外の、再生可能な自然エネルギーで解決できるのか、新たなエネルギー資源についても盛んな議論があった。再生可能なエネルギー利用に関して、市民サイドでも種々の取り組みが試みられているという報告も行われた。そうした試みなどからみてもさまざまな再生型エネルギー技術の可能性があるが、しかし現在の日本の経済社会では依然としてエネルギー浪費社会が続けられようとしている問題も種々議論された。たとえば住宅建設は大規模土木工事などと違って、人の生活に直接関わる大事な公共的投資であるが、予算規模からみて大量のエネルギーを使っていると推定される。だから省エネが大切だが、しかし今は建て替え年限が16年で、木が育つのに60年かかることを思うと何とも短く、現在の住宅政策はエネルギー浪費型だ。また都市開発で高層ビルが立てられるが、これもエネルギー浪費型だ、といった指摘など。


3 以上のようなエネルギー問題に関しての議論を通して、確かにエネルギー資源問題も大切だが、廃棄物環境の方がクリティカルであること、したがって省エネ政策がまず重要であること、日本はエネルギー大量消費社会になってしまっているが、そうなったのは“自然”現象ではなく、“社会”現象であること、したがってエネルギー政策に対してNGOからどんどん働きかけの運動をしていくのが大切であることなどが、参加者の共通認識になったのではないかと思われる。


4 NGOの運動に関して、情報公開が重要であるとの指摘があり、その場合本当に公開の実を上げるには、分かりやすい資料であり、また公開の方法も検討されねばという指摘があった。NGO運動は横のネットワークづくりも大切で、そのためには新しい情報伝達手段としてパソコン通信の可能性は追求されてよい、という発言もあった。


5 科学技術の研究体制では、SSを目指すような研究開発をやっていくには、科学技術者の自主的民主的研究活動を保障する社会的条件が重要である、という小野塚報告がなされ、これをめぐって日本の現状について討論がなされた。



(西川 栄一)