第8分科会解題
地球時代の環境教育
基調報告(和田)では、今日の人為的環境変化の本質と特徴が、環境教育の重要性と緊急性をこれまでになく高めており、「持続可能な社会」の実現を目指す環境教育を推進する客観的条件が成熟しているが、日本の現状はまだまだ遅れた段階にあること、小中高校、大学、自治体、企業など各分野での実践の推進と分野間のネットワークづくりの必要性が述べられた。
つづいて午前中の第1部「環境認識と環境教育の現状、問題点」では、Jordan氏(南ア)(論文参加・抄訳朗読)から南アフリカの小学校・中学校での環境教育の現状報告、大見氏から高校環境教育が、まだ教員の個人的取り組みが少しずつ現れている段階であること、高山氏からは、大学環境教育において学生の環境意識や行動の変化を生みだすために参加型システムが重要であること、歌川氏からは、政府・自治体での環境教育の意義・重要性と取り組み状況、高木氏からは企業の環境認識の現状と環境教育の取り組み状況・課題が、建設業界のそれを中心に、環境監査との関連において述べられた。
午後から第2部パネル討論「『永続可能な社会』を目指す環境教育』が行われ、5人のパネリストから報告を受けた後、討論を行った。井上氏は、地球環境社会の中の環境教育が目標とすべきものとして、地球の有限性に基づく「共生」の方向を目指すことが重要であること、槙村氏からは、地域における環境教育では、NGO等の住民本位の環境教育と、自治体による環境教育の相互協力・協同の必要性が述べられた。乾氏は、大学におけるリサイクルサークルの実践を通じて、大学の環境保全システムの確立に影響を与えた実践が報告された。後藤氏からは、ガールスカウトなどの青少年団体の自然とのふれあいを通じて、環境教育の実践例が報告された。今後、これらの各領域のさらなる環境教育の推進と、相互のネットワークづくりの重要性等が議論された。
その後、フロアーから、10人近い参加者のそれぞれの取り組み状況が、生き生きと語られた。
(和田 武)