■林 智   元日本環境学会副会長、元大阪大学医療短大教授


■経歴
 
1945年8月、大阪駅前の一面の焼け野原で、敗戦の瞬間を迎える。18歳だった。

1948年、中之島・大阪大学理学部の学舎で、槌田龍太郎さん(無機化学者)の講義に接する。先生は言った。「これからはアメリカの文化が押し寄せてくる。大量消費文化は『未来人』への侵略だ」。先生は現在の世界を見通していたと思う。日本は、芋づるとかぼちゃしか食うもののなかった時代である。

1985年ごろから、本職の「放射化学」や「放射線管理」の講義の狭間を縫って、「21世紀人への遺言」という講義を継続した。「『永続可能な社会』をつくらねば」という問題意識である。

1991年に阪大退職後は、96年に立命館大学の非常勤講師を辞するまで、同大学で同じ講義をおおっぴらにやった。(固ぐるしい紹介は、「実行委員会」のページに)。


■発表の内容   『永続可能な社会とは何か〜21世紀の市民の実践』
 
   基調報告で報告することになる現在の世界に対する認識は、「永続可能な社会とは何か?」のページ(全5章)にある。この内容の原案は林が書いたが、その趣旨は1年以上も前から準備会の話題に取り上げられ、ホーム・ページにはつとに公表されているので、いまは即、実行委員会の認識であると考えていただいてよい。

 とかく大きな集会の基調報告というと、形式張ったスローガンが並んだような、おもしろくもないものと思われがちだが、ここでは、できればあまり他の人が言わないことを言いたい。「戦争はなくせるのか」「物価を上げなければ社会の浪費体質は克服できない」「宗教者との協力なしには、文明破綻のときに間に合わないのでは」等々、いささか挑発的なことを言ってみたいと、いまのところ思っている。

 また実行委員会の意思として、「『永続可能な社会』をつくる市民研究サイバー・ネットワーク」を立ち上げる提案もしたいと考える。