2008年2月10日(日曜日)

水の革命 - 森林、食糧生産、河川、流域圏の統合的管理 -

カテゴリー: - ssnet @ 17時35分25秒

近刊書籍紹介

水の革命  ― 森林、食糧生産、河川、流域圏の統合的管理 ―
イアン・カルダー 著
蔵治光一郎(くらじ こういちろう)+林裕美子(はやし ゆみこ)監訳

A5判 288頁
定価 3,000円+税
発行 築地書館
電話 03-3542-3531
FAX 03-3541-5799

本書は、流域の水資源と土地の統合的管理(ILWRM)について理論的に解説するとともに、インド、中国、アフリカ、日本など世界各国の事例を踏まえ、実践的な管理方法について提案した本である。

最近「統合的水資源管理(IWRM)」という言葉が頻繁に使われるようになった。ここではそれに土地(L)を加え、ILWRMとしていることが特徴的である。著者はこのような流域の土地と水の統合的管理による水危機克服手段を、食糧危機克服手段としての「緑の革命」になぞらえて「青の革命」と呼んでおり、これこそが近年広く叫ばれるようになった「世界の水危機」に対処する唯一の道であると説いている。

本書の邦題は誤解を避けるために「水の革命」としたが、本文中では原文に忠実に「青の革命」の語を用いている。

著者からの最も重要なメッセージは、これまで河川流域単位で取り組まれてきた水資源管理、洪水管理、流域(土地)管理が、互いに密接に関係しているにもかかわらず個別に行われており、今後はこれらを統合して管理しなければならないというものである。

流域の土地を巡る議論をする際、森林は特に大きな面積を占める土地被覆形態で、かつ水循環に及ぼす影響が大きく、水資源や洪水にも影響を与えるため、本書の全体を通じて重点的に取り上げられている。森林が適切に管理され、林業が行われていれば、水の量や質についてもおのずから良い結果が得られるという、いわゆる「予定調和論」的考え方を一つ一つ検証し、森林・林業と水とは、片方を得ようとすればもう一方を犠牲にせざるを得なくなる、いわゆるトレード・オフの場合もあることを説いている。特に大規模な植林が水資源にマイナスの影響を及ぼす可能性や、土壌浸食を引き起こす可能性を指摘し、十分な配慮が必要であると強調している。

日本の森林、農地、河川、海岸、水資源等にかかわる行政担当者、研究者、これらの分野に関心のある市民、NPO等、さらには開発途上国の援助を担当する行政関係の人々、研究者、NGO等にとっても有益な情報が満載されている。

本書の構成は以下のとおりである。
第一章 新たな理解―土地利用と水の相互作用
第二章 森林と水―神話と俗説
第三章 水資源と「制限」概念
第四章 新たな理念
第五章 政治、権力、犠牲
第六章 水資源をめぐる対立
第七章 統合的土地・水資源管理(ILWRM)


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