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第1分科会解題 「地球時代の新しい経済を探る」



 この分科会では主として、次の論点が議論された。すなわち、(1)「持続可能な社会(以下SSと略す)」とは具体的にどのような社会であるか、(2)どのようなアプローチをたどってSSに達するのかである。


(1)について、問題提起者から、それは宮本基調報告の5つの課題を実現できる社会であり、例えば「共同決定社会」ではないか、という意見があり、「共同決定社会」について、地球規模、国レベル、地域レベル、企業レベルでの決定への参加ルートが説明された。
(2)について、環境問題の深刻化とともにエコ産業・エコビジネスが確立し、主要な産業になり、SSへ軟着陸できるのではないかという意見がだされた。


 論点(1),(2)との関わりにおいて、(3)資本主義経済とSSは両立できるか、(4)現在の企業をどのように評価できるかという問題がだされた。


(3)について、資本主義経済は利潤追求=高成長追求なしに持続できないからSSとは両立しえない、という意見が述べられたが、それに対して資本主義経済はこれまでも難問を解決してきたし、それほど悪いものではないから、再び自らを修正適応していくだろうという反論があった。
(4)について。企業も努力しているし、利潤を社会還元し社会的責任をはたしている、という意見があった。とくに、大企業から参加した人達の意見であった。しかし、企業の目的は利潤追求であり、コスト削減にあるから、自動的に環境保全を最優先するわけではない、環境保全の運動が強くならなければ企業を変えることはできない、という反論があった。


 この分科会のなかで、資本主義経済を美化したり、企業の環境破壊を免罪するような意見があったことに対して、資本主義経済が環境を破壊してきたこと、企業が汚染物資を排出してきたことはあきらかではないか、という反論がなされた。


最後に、司会者が、「SSの必要性について参加者の意見は一致しているが、SSの具体像はまだであり、それを具体化することがSSの必要性をアピールするためにも緊急の課題である。この集会を一つの契機にしていっそうの努力が必要である。新しいシステムは市民運動を通じて具体化していかなければならない」とまとめた。
(菊本 義治)


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