第3分科会 自然との共存の原則を探る
SSが成り立つためには、社会の構成員の間の平等・公正がなければならないばかりではなく、社会と自然の間の公正・サステイナビリティがなければならないという観点からこの分科会が組織された。分科会は大きく2本の柱からなる。
第1の柱においては、自然のサステイナビリティは生物の多様性が保全されてこそ保持されるとして、そのことを述べる基調報告。アフリカと日本における自然保護の現状と問題点についての2報告。現在の子どものために、自然と自然保護はいかにあるべきかを取り上げる報告で構成された。
第2の柱においては、自然における社会の営みのあり方を探った。先住民といわれる人々の自然の中での生活の営みについて多くの事例報告、国土保全の基軸ともいうべき日本の国有林の危機的な現状、生態的管理を優先させる等の対策の検討、林野庁への対策の提案と、同庁の冷淡な態度についての報告。インドヒマラヤ地域の森林・土地の荒廃、生物の衰退などの自然破壊の実態と、その回復に向けての諸プロジェクト、法制、住民参加、婦人の地位の向上、教育等を含む対応を紹介した報告があった。
さらに昨日(第1日目)末の議論の中では、近代化の過程で支配的な、狭い意味での人間上位の考え方を問い直す指摘がくりかえしあったが、これにも関連し、以上の諸報告にも対応する形で、「自然物の権利」を制度化することを提唱する報告があった。
以上、明日へ向けて、分科会テーマをめぐる課題の認識を深める緒が与えられた。
(山岡 寛人)
[第2分科会 基調報告] 地球環境政治における南北問題 関 寛治 |
1994集会 |
[第3分科会コーディネータ解説] なぜ、自然の永続性を問うか? 本谷 勲 |