トップ  >  1994集会  >  アメリカ合衆国におけるエネルギー・環境・永続可能性:法的見通し  チャールズ・コーワン

アメリカ合衆国におけるエネルギー・環境・永続可能性:法的見通し



九州大学法学部 チャールズ・コーワン



1 はじめに


 私 チャールズ・カウンは、エネルギー効率の増進と、そのための政策が地域や国の開発に対してもつ効果について論じるために、九州大学から出てきました。

 しかし、始める前に、いくつか申しあげたいことがあります。
 まず、SS事務局が、私が今日ここで皆さんにお会いできる機会を与えてくださったことに対して感謝いたします。
 次は、私はアメリカの法律家ですので、主にアメリカの連邦および州の政策に基づいて論じることになります。もちろん日本が、エネルギー効率の改善に関して大きく前進してきて、効率的な技術の開発において多くの点でアメリカを追い越していることは承知しています。

 しかし、ここでは、アメリカの政策とプログラムについて話すこととします。
 政治的、地理的、そして最も重要なことには、経済的条件によって、他の国や地域には適用しにくいかもしれません。
 しかし、これからお話しするのはエネルギー政策の青写真ではなく、今までと違った政策の選択肢と、そのもたらす結果についての考察です。

 発展途上国が、個別の事情にかかわらず以下の例に従うべきだ、というのではなく、私としては、政策の選択の幅を示し、それらの中で、いくつかでも、どこかの国の必要に応じられればいいと思っています。



2 序章


 今日、私たちは「永続可能な開発」と法について論じるためにここにいます。
 しかし、「永続可能な開発」の概念はとても定義しにくいものです。
 経済学者は永続可能性を「資源の最適な管理」ととらえ、SDは「天然資源の効用と質を維持しながら、経済発展の利益を最大化すること」であるとします。

 他の人は、SDを「健康管理、教育、社会福祉を改善すること」と考えるかもしれません。この見地にたつと永続可能性は、たとえば貧困を改善し、人口を安定化させることで社会条件を改善することから始まる、ということになります。
 環境法にかかわる者としては、永続可能性を環境保護の観点から考えたくなります。
 これらの定義はそれぞれSDの重要な側面にかかわりますが、概念を定義することにはなりません。すべての問題に注意をはらうことが必要だからです。むずかしいのは、ひとつの部分(たとえば貧困)を改善することが、しばしば他の部分(環境)とぶつかるということです。
 このことは、特に発展途上国にあてはまります。

 そこでは、特定地域の貧困の解決が、天然資源の乱用につながることが多いでしょう。
 経済・社会・環境は、それぞれの分野の間での妥協なしには、永続可能性について定義することましてやそれを実現することはできません。

 さて、現在のエネルギー政策ですが、上に述べたすべての問題が多くの面でかかわってきます。たしかに効率的なエネルギーは、経済を改善するでしょう。
 経済がよくなり、必要な社会政策が実施されれば、生活水準は上がります。
 もちろん、エネルギー消費を減らすことは環境にとってもいいことです。

 私は、アメリカのエネルギー政策について論じることで、注意深い計画と法制化によって、社会のすべての分野での永続可能性が高められるということを示したいと思います。
 いくつかのエネルギー政策の利点について論じることで、発展途上国のエネルギー政策の問題と、いわゆる先進国がどうすれば援助できるか、についての話へ進みたいと思います。



3 エネルギー利用


A エネルギー:環境と社会への影響

 伝統的方法によるエネルギー生産(石炭・石油)は、多くの面で環境を害します。
 化石燃料の探査と輸送は、土地の沈下や石油の漏出の原因となり、燃やすと多くの大気汚染物質を生み出し、CO2やNOxは地球温暖化やオゾン層破壊に直接かかわっています。

 直接的な環境への影響を越えて、不適切なエネルギー利用は社会的にも有害です。
 エネルギーは高価であり、不適切なエネルギー生産は不要な浪費です。
 多くの資本がエネルギーに投入されているので、それは資本の浪費をも意味します。
 貧困や教育や健康管理のために使われるべきお金が、貧しいエネルギー政策のために費やされるのです。
 以下に論じるように、最も余剰資本を必要としている国で適切な技術が採用されていないのです。

B 消費の動向

 20世紀にエネルギー生産は未曾有の成長をとげました。
 自動車が増え、工業での燃焼過程が増えるとともに、石油の需要が増え、同時に石炭の需要も世界的に増大しました。
 20世紀を通じて、いわゆる先進国が発展途上国よりはるかに多くのエネルギーを消費してきました。しかし、オイルショックによって、アメリカや日本といった先進国が法律や技術的手段を通じてエネルギーの効率化をすすめるようになり、その結果、過去20年のうちに、エネルギー効率は劇的に上昇しています。

 先進国のエネルギー消費は、永続可能な消費レベルからほど遠いものとはいえ、流れは、効率化へと向かっています。しかし、発展途上国においては、技術のコストが高すぎ、専門家が先進国に集中しているため、有効な手段をとれずにいます。

 このことは永年無視されてきました。というのは、発展途上国のエネルギー消費は、先進国にくらべ微々たるものだったからです。しかし、発展途上国のエネルギー消費は2025年までに3倍になる勢いを示しています。さらに発展途上国で使われているエネルギー源(主にフィルターなしの石炭燃焼)は環境と人間の健康にとって最も有害なものの一つです。
 明らかに、先進国の効率化政策に注目し、アメリカや日本のように経験ある国が、どうやって発展途上国のエネルギー効率化に貢献できるかを考える時がきています。



4 アメリカ合衆国のエネルギー政策


A 連邦の政策

 連邦政府は、州、地方政府と共に、エネルギー生産・消費にかかわる多くの領域をカバーしています。過去20年間にすべての領域でエネルギー効率は大いに改善されました。
 20年間でGNPは40%以上上昇したにもかかわらず、エネルギー消費は73年レベルのままです。その結果、73年までのペースで消費拡大したと仮定した場合と比べて、2000億ドルが節約されました。今後、数年のうちに効率化や再生可能エネルギー源への投資によって、数千億ドルが節約できるかもしれません。

 さらに、そうした投資をする国が、国際競争において有利になるということも言えます。
 それらのために、さまざまな政策が採用されてきましたが、それらは「供給側」と「需要側」に大別されます。
 供給側への政策の例としては、直接には、石炭火力発電所や工場向けの規制、間接的には、自動車や家電製品工場向けのものがあります。

 これら供給側に対する政策は、製品や電力の値段に影響する以上、「需要側」に対する影響は避けられませんが、それは数量化は困難でしょう。

 一方、需要側の政策は、生産者のした効率性追求とは関係なく、消費者の行動を考えようとするものです。以下に述べるように、多くの政策は、供給側・需要側双方に、利益をもたらしました。
 交通機関は、合衆国のCO2排出量の31%を占めます。現在、石油消費の63%が輸送(主に乗用車)によるものです。したがって燃費の向上がエネルギー・環境法に関して重要な意味を持ちます。簡単にいうと、自動車の燃費が上がれば一定の距離を少ない燃料消費で走れる。消費燃料が少なくなれば汚染物質の排出も減ります。

 いくつかの州が、交通機関のエネルギー効率を上げる上での主導的な役割を果たしました。しかし、多くは、連邦政府によってなされたものです。

 たとえば、企業平均燃料経済基準(CORPORATE AVERAGE FUEL ECONOMY−CAFE)は、最適な車の効率を確保するための有効な手段でした。
 1975年のエネルギー政策及び保全法の下で発動されたCAFE基準は、自動車製造者に対しガロンあたり走行マイル(mpg)の最低基準が、エネルギー省によって期間を定めて設定され、1985年までには、その基準は27.5mpgとなりました。

 供給側の政策としては、CAFE基準は車の効率への比較的単純なチェックです。
 何人かの経済学者が輸送部門におけるその効果について論争しましたが、燃料税などとくらべて、CAFE基準が燃料効率を高めたことが、多くの研究によって解明されています。

 燃料への均一税率の課税は、効率化のためにしばしば論争の的にされます。現在、各州の課税に加えて、3.5%の連邦ガソリン税がかけられています。この税率の増減がどの程度効率化に役立つかには議論の余地があります。結果的に現在の規制は、均一税率から「浪費家(カズラー)/節約家(シッバー)」税制へと動いてきました。これは、効率の悪いものに高く、よいものには低い税率をかけるものです。ゴア上院議員(現副大統領)が提案した法案では、燃費のよい車を買った人には、より多くの所得税控除や払い戻しを行うとしています。しかし、これは実効性をもたせるのがむずかしく、燃料効率のよい技術は高くつく、と仮定してしまうという逆の効果を生みかねません。結果として、効率の悪い車の方が安いので、低所得層の人が買うようになり、彼らに不均衡に重い税負担を負わせることになります。そのような逆効果は克服できるでしょうが、そのための方策は「効率のよい車を買えるだけの収入があるのにあえて買わない人」だけをさがし出し、課税する、というようなものになります。他の方法(これまでに述べたものとこれから述べるもの)の方がより実現性があり、より目に見える効果が上がりそうです。

 効率改善は、交通機関以外の部分でもできそうです。建物のエネルギー効率改善は、エネルギーとお金の節約に役立ちます。
 たとえば、連邦の法律は、電化製品や照明に一定の条件を課して、商業施設や住宅のエネルギー使用に影響を与えています。商業施設では、照明が最大のエネルギーの用途であり、個人の家庭でもかなりのウェートを占めています。連邦の基準は、かなりゆるやかですが、国レベルで、建物のエネルギー効率をいくつかの面で規制するための努力としては、比較的成功した例といえます。

 連邦政府の法制だけでは不十分でしたが、州や地方政府と協力することで、最大の成功が得られる、ということが経験されました。電化製品に関する規制−EPAの「グリーンライト計画」― は、多くの州の賛同を得つつあります。この計画のもとでは、各州は現在の政府施設を調査し、「それが利益になり、照明の性能を落とさない場合に」より効率のよい器具をとりつける、ということになっています。これで、メリーランド州だけで、州の照明予算の25%、年間1050万ドルの節約になると予測されます。

 連邦のさまざまな措置によって、工業分野にも、かなりの節約がなされました。コジェネレーション、すなわち廃熱利用は、工業における動力の需要に大きく影響することがわかりました。1978年の公共施設規制実現法(PURPA PUBLIK UTILITIES REGULATORY PRACTICE ACT)は、国の300の独立施設に、独立に生産された低価格のエネルギー源を購入するよう求めていますが、それはコジェネの利用を促進しました。PURPAによる奨励がすでにあるのに加えて、連邦の立法者たちは、低い資本回転率の過程からより効果的な過程へ転換させるための法人税法の改良によって、より効率的な技術への投資を促すことを追求しています。少々の税制による刺激では、企業行動を変えさせることはむずかしいのですが、より実質的な融資が有効かもしれません。


B 州および地方の政策

 いくつかの州が、CO2のような有害物質の放出の張本人でもあります。テキサス州だけでも、フランス、イタリア、カナダ以上のCO2を放出しています。しかし、同時に州と地方政府は、エネルギー効率の改善を通して、放出を減らすことができる能力をもっています。公共事業の規制、建築法の公布、土地利用計画 ― すべて州の権限に属します。州の環境法制における権限もまた大きいのです。合衆国憲法第2章第6条により、州はそれが最低連邦基準を満たす限り、連邦法を補足する法を作ることができます。それは、連邦法より厳しい場合もあります。

 州が連邦より有利なのは、州の政策が革新的で地域に密着した対応を許すということです。最低限の基準が満たされるために連邦の指導や監督がしばしば必要ですが、州と地方政府は環境問題を解決するために効率的で経済的な方法を工夫できる立場にあります。

 多くの州や地方の政策は、純粋な利益(建築効率、工業エネルギー管理)を生んだり、費用を節約したりしています。(輸送管理や埋め立てとゴミから発生するガスの収集)。
 効率的に対応する能力を与えられて、多くの州の政策が地球温暖化のような問題と闘う前衛部隊を組織しています。すべてではありませんが、多くの州法が連邦の法制と共存し、補足しています。その結果二つのレベルの政策がそれぞれのやりかたで、エネルギー効率を追求しています。
 多分、州が汚染物質排出について取組んだうちの最も重要な分野で、おおくの成功を生んでいます。

 6つの州、カリフォルニア、フロリダ、アイオワ、ニューヨーク、ノースカロライナ、ウィスコンシンは、エネルギー効率向上のための研究と政策の恒久的な研究計画を確立するところまで行っています。
 これらの計画の重要性は、過少評価されるべきではありません。

 たとえば、電力事業はCO2 の排出源としては最大のものです。州と地域の公共事業委員会(PUC)は、アメリカの300の電力会社に対する監督権限を有しています。
 新しい生産能力の必要や燃料の選択を監視することで、州やPUCは、環境目的を推進する上でかなりの権限を持っています。

 いくつかの企業が近年、保存やエネルギー効率に関する協定を破っていますが、多くの州の企業の間で、最大の効率と最小の環境汚染を確保するための「最小費用計画」の使用が盛んになっています。
 簡単に定義すれば、最小費用計画は「環境への関心やその他の責任を含んだ全体としての消費者のコストを最小にするような組み合わせを選択するための発電方法を調べる過程」です。その過程は将来のエネルギーサービスの必要を見通し、その必要を、さまざまな資源供給や保存によって満たすためのコストを計算することも含みます。

 こうしてエネルギーを生み出す上での「環境コスト」が計算できます。
 環境への関心が最小費用計画の過程のすべてを優先するわけではありませんが、多くの州(特にメーン州が有名ですが)では、電力会社に新しい発電所を作ったりする前に、環境問題を優先するよう求めています。
 最小費用計画は、その柔軟性のおかげで汚染物質排出に関して特に有効です。こうしてはっきりと「効率」を求めてはいませんが、最小費用計画は多くの創造的選択の道を開き、その多くが電力企業の効率化に貢献しています。さらに例えば州政府は企業に報償を与えるために「利用率構成」を作成し、効率化への動機づけをしています。

 この構成の主な利点は、企業の利益率がその効率と直接比例するようになることです。
 顧客の数は、比較的一定ですが、費用の方は効率化によって下がります。
 この構造の成果はめざましいものです。たとえば北西部電力計画委員会は最近エネルギー保存と効率化対策のために今後10年間に50億ドル投資すると発表しました。

 多分初期の供給側での対策の成功の結果として、多くの企業が今消費者の側での効率化促進に取り組んでいます。消費効率はさらに企業に利益を与えます。電力調査機関による最近の調査では2000年における電力需要はもし効率的な技術が広く使われるようになるなら、22〜44%も低下するそうです。需要の減少は、次々と発電能力を増やし、高価な施設を作り続ける必要を減らすことにつながります。消費者人口と連動した利益率と連結されれば、需要の減少はいくつかの企業にとって多大な利益となるでしょう。

 輸送分野には、州と地方の政策がさらに展開する機会があります。
 連邦のCAFE基準は、州と地方が燃料効率に直接規制をしないようにしていますが、州は自動車の使用を効率化させるための様々な手段をもっています。いくつかの州はより燃費のよい車を買うことをすすめるために刺激策を設けています。たとえばコロラド州は効率のよい車を買った人あるいは非効率な車を改造した人に、200ドルを払い戻します。メリーランド州は連邦議会に提案されたのと良く似た「浪費家/節約家」法を採用しました。カリフォルニア州のドライブプラス計画は、新車によっておきる汚染の量に比例して販売税率を変動させます。消費者により効率的な車を買うように促すことで州が、非効率的な車を作る企業に対し、CAFEのような抑制措置をとっているのはもっともなことです。

 製造業者と公共事業の間の協力は、さらに別の効率化利益を生む余地を生じます。カリフォルニア州やマサチューセッツ州は消費効率化技術への投資を促すことで、新しい発電所を作る必要を減少させます。そのような企ての下で公共企業は工業分野で使われる技術への投資を促されます。このやりかたの背後にある哲学は上で述べたのと同じです。

 効率化の利益にまず投資することで、企業と消費者が長期的な利益を受けるのです。
 建築物もCO2 の発生源として大きなものです。そこで州は政府の建物を買うときに、ライフサイクル費用計算として知られる方法を始めました。それは「建物のデザインと建設のやりかたを建物使用期間中の保全やエネルギー消費を含む費用が最小になるようにする」という考え方です。マサチューセッツ州などはさらに進んで、建築家や技術者の責任という見地からの要件を法制化しました。この法は、さらに規制を守らせるための政府による専門家の監督と訓練を提供しています。

 商業建築物のデザインと建設を、法律を考慮してやるように要求することで、今より50%以上エネルギー消費を減らせることが期待されます。税制上の優遇やその他の措置を通して既存の建物を改造するのを促すことば商業分野でのさらなる節約を生むでしょう。
 住宅は、国全体のエネルギー使用の三分の一を占めます。しかし全体の半分の住宅はその技術的・経済的基準が全くおそまつな州に建っているのです。成功した例を見ると新しい家の建設費に最小限の費用をプラスすることで、かなりの節約が達成されます。電気代の節約はとても重要です。

 ワシントン州は、住宅の基準を厳しくすることで2005年までのCO2の排出を年間330万トン、燃料のコストを1650万ドル減らせる、と計算しています。
 三つの州で住宅が売却されるときに、効率的な装置を要求する「住宅エネルギー保全法」(RECOs RESIDENTIAL ENERGY CONSERVATION ORDINANCES)を実施しました。カリフォルニアの二つの都市 ― デービスとバークレーでは、家を売る前にエネルギー効率を証明するよう求める法令を通しました。
 そのように州と地方の政策立案者たちは、実に巧妙にやってきました。いくつかの例では、州が連邦をリードしています。エネルギー効率への注目が増すことで、さらに技術革新が進むでしょう。



5 発展途上世界での代替政策


 今まで述べてきたように、先進地域での政策の選択の幅は広いものです。しかし、合衆国で成功したことが他の地域でもすぐ再現できるわけではありません。例えば、合衆国の連邦制度には連邦と州のかなり高度な協力を可能にするものがあります。十分に財源のある監視と報告の制度が両者の協力を可能にしています。さらに、最新の技術がすぐに使えるということが、多くのアメリカや日本の効率化計画にとって大事なことでした。

 いままで、述べたことは多くの費用と技術を必要とします。発展途上国は最も基本的な方策のための財源も技術訓練の手段もありません。この面で、途上国を援助するべきだということには議論の余地がありません。途上国におけるエネルギー需要の増加の見通しは何らかの手が打たれないかぎり、地域の人口と環境に対する大きな被害を生むでしょう。

 既存のサービス供給者の効率を改善することで未来のエネルギー需要の増加はおさえられます。例えば今、鉄鋼、セメント、化学製品、紙といったエネルギー集約型産品の生産は途上国のエネルギー消費の約半分を占めています。それらの過程で使われるエネルギーは、同じ製品を作るのにアメリカや日本で消費するエネルギーの倍です。同じように、交通機関分野でも問題を抱えています。公共交通不備なので、人々は効率の悪い乗用車にいよいよ頼るようになっているのです。

 では、どうすればいいのでしょう? 途上国ですぐ使えそうな手法は「最小費用計画」です。上で述べたようにこれは費用を最小にするために供給方法と保存方法を結合させることを含んでいます。今これを実行している途上国は殆どありませんが、こうした法制と知識を輸出するための費用は比較的安いものです。必要な訓練とコンピューター設備とともに文章化された手続きの発達を通してこうしたやりかたが始められるだろうと予測されています。

 特に、重要なのが技術の共有です。まずなにより途上国が最新の技術についての情報を得られるようにしなければなりません。それらのデータベースなどはしばしば工業化の進んだ諸国によってしか利用できず、あるいは途上国が利用しやすいような形になっていません。また技術を有効にするための政策に関する情報も利用できません。しかし技術や法についての情報を供給するのにかかる費用は、得られる利益に比べれば安いのです。

 効率的な技術の開発者は、しばしば途上国で大がかりなマーケティングをするのをためらいます。多分潜在的な市場が小さすぎると考えてのことでしょう。明らかに途上国での効率化政策の改善は、彼らを励まします。途上国は、政策実現に必要な技術の裏付けなしには上記のような法的手段を採用することはないでしょう。効率的な車を作る技術がない自動車会社に対してCAFE基準を適用することはできません。上記のような政策は、情報と訓練という二つのものがあらかじめ与えられなければ実施できません。

 政府はそうした技術の購入者に対して、それをどこそこで売れ、と要求することはできませんが、国内の生産者と途上国の消費者との間の関係の確立を促すことはできます。例えば、日本はこの数年間に途上国で環境保全に役立つ商品の販売を促進してきました。

 政府出資の合弁企業や訓練センターの設立によって、日本は環境技術の国際的な売り手としての地位を確立しました。この例は、他のどこでも見習われるべきです。

 最新の技術と必要な訓練とを得ることで、途上国はエネルギー効率化計画を通して得られる経済的・環境的社会的な利益を理解できるでしょう。個々の国々は、アメリカや日本のモデルを採用するのに深刻な障害にぶつかるでしょうがアメリカや日本からの援助によって、それぞれの地域に適用できるようになるでしょう。旧ソ連のシュワルナゼ氏が言ったように「生物圏には経済ブロックや同盟や体制による何の境界線もない」のですから、外国で起こっている環境や経済上の問題が自国とは関係ないと考えるのは不適切です。どのように定義したとしてもSDは全世界の積極的な参加を必要とします。

 我々の法的技術的部門が持っているもののうち最善のものを共有することで永続可能性を全世界にとってより現実的な目標とすることができるのです。 

(訳・堀 克祐)

プリンタ用画面
前
国内および国際的政策としてサステイナブル・デベロップメントを認めることの倫理的意味、政治的関係、実行上の限界について(要約) ゲーリー・D・メイヤーズ
カテゴリートップ
1994集会
次
第6分科会 ライフスタイルをどう変革するか  青山政利

コンテンツメニュー
(C)Copyright 2006 - Sustainable Society Network. All Rights Reserved.  [ サイトマップ | お問い合わせ | ログイン ]