トップ  >  1994集会  >  どのようにして南アフリカの若者たちを、永続可能な社会の向上のため、責任をもって環境を守り、利用しようという気にさせるか(要約)  ヨハネス・H・ジョーダン

どのようにして南アフリカの若者たちを、永続可能な社会の向上のため、責任をもって環境を守り、利用しようという気にさせるか(要約)



ヨハネス・H・ジョーダン(南アフリカ大学)




1.はじめに


 若者に環境問題により深い関心を持たせる方法はいろいろあるが、そのうちの1つとして、環境コンペ(競争)に参加させるというのがある。ここでは初級教育と高等教育における競争について述べたい。


2.競争について


(1)目的

 環境に対する意識を高める。環境に興味を起こさせ、問題を特定し、可能な解決方法をみつけさせるためのものである。将来、政策決定を行ったり、環境の管理をする際に必要な敏感さと責任感を身につけさせる。


(2)意義

 競争により、次のような点が身につく
 ― 環境に対する敏感さ、意識、一体感の発達
 ― 環境に対する実際的な知識(生態学的、経済的、政治的、社会的、技術的)
 ― 批判的な考えや、問題の解決法、コミュニケーション能力の発達
 ― 環境に対してもつ個人責任の受容


(3)区分

 初等教育(3年生から5年生)と高等教育(6年生から10年生)
 プロジェクトは次のようなカテゴリーで採点される。〜躪隋↓土壌保護、C楼莠匆颪任龍力、な顕重・歴史的な内容


(4)ルール

―颪い燭發里鯆鷭个垢襪、採点者の前で口頭で述べることができる。
■吋繊璽爐肋なくとも3人以上6人まで。その中からリーダーを選出する。
最終的な採点の際にはプランの報告はグループ全体でしなければならない。報告はポスター、スライド、テープ、写真、オーバーヘッドプロジェクター、モデルや展示などを使ってもよい。
な鷙陲麓分たち自身でやらなければならない。
ヌ詰に洗練されたうまいやり方をやる必要はない。
κ鷙陲15分以内。採点者の質問に5分間。
Д廛蹈献Дトは学校の集会で報告しなければならない。このようにして、より多くの人々の環境保全への意識を高める。


(5)テーマの選定

 環境問題(自然環境と人為的環境の双方を含む)。目的は最終的には環境の保護であり、環境の質を高め、生活の質を高めること。生徒がフィールドワークのできるようなテーマを選ぶ。環境問題を特定し、実践的に調査され、解決策が示されなければならない。解決方法が実践的であり、社会の多くの構成員が関わりあいをもつほど、点数があがる。調査項目としては、公害(大気、水質、騒音等)、人口、都市化(住宅、交通、発達)、文化的・歴史的資産(古い建物、標識、地域)、土地利用計画、資源の無分別な使用、エネルギーの使用と浪費(また化学製品の無駄な使用)、廃棄物の移動(固形廃棄物、液体廃棄物、ガス廃棄物)、食料の供給などなど。


(6)プロジェクトについての一般的なガイドライン

 子どもたちにとって大きなチャレンジであり、地域社会をも巻き込むような地域の環境問題とその解決策を選ぶ。プロジェクトは1年間以上にわたるものも可。新しいチームがそれを引きついでもよい。 例)生徒たちが今後も続けて行うハイキングのルートの計画や、野鳥のサンクチュアリーを決めて維持するなど。独立したものでも継続するものでも可。


(7)教師やリーダーへのヒント

 ― チームのメンバー選びは非常に重要である。熱意はもとより、個人として行動できる力が大切。イニシアチブをもつとともに忍耐力があること。
 ― 先生やリーダーたちは、チームが情報を集めたり、連絡したり、プランをまとめたり、報告の発表方法を考えたりする時には、チームから離れておく。そうでなければプランの目的は達せられない。
 ― テーマの選定が最も重要。できるだけ自分たちで選べるようにしなければならない。
 ― プロジェクトは生物や地理の先生だけのものでなく、総合科学、歴史、農学、経済、語学や芸術の先生も加わる。
 ― プロジェクトは学校やクラブの中に広げられなければならない。
 ― チームの各構成員は、プロジェクトと地域社会に関わりをもつ。生徒同士や一般の人々へのインタビュー、アンケート活動、世論調査や大衆集会など。

 ― プロジェクトの発表は次のような形で行われる。
 〔簑蝓Т超問題を特定する。または背景を探る。その問題の環境への影響。
      プロジェクトを決めるに至った動機。その影曹。
◆…敢此背景研究。使用する技術。プロジェクトの範囲。
 結果:達成された実践的結果。環境問題がどの程度述べられたか。提案した解決法は実践できたか。どの程度成功したか。


(8)チーム員へのヒント

 ― 各自がプロジェクトに平等に貢献しなければならない。他の仲間を元気づけ、意義をつかませなければならない。
 ― 文献の調査だけではだめ。問題の起こっている地域に行き、解決のために積極的に行動すること。
 ― 適切な文献調査と問題を完璧によく知ることが大切である。
 ― 市議会や学校などの諸機関が、問題解決にあたって役割を果たすようにさせることが重要である。


(9)採点

  環境問題担当部門の代表者が地域予選の際は採点の責任者になる。優勝決定戦では、発表したものは専門家によって採点される。



3.この競争で、初等教育と高等教育における成果にはどのようなものがあったか。


(1)初等教育

 .リフトン小学校  健康な港の楽園(1990年優勝)
ナタール州のクリフトン小学校の環境グループは、ダーバン港の長期調査を実施した。主なねらいは、マングローヴ林の保存(長さ700メートル――周辺の海岸全体のわずか3%)にあった。マングローヴは環境全体に密接な関係を持つので、湿地の保存、マリーナ計画の調査、水質検査、他の港での汚染対策との比較、砂の堆積の問題の研究、化学物質による汚染、などのテーマが浮かび上がった。グループは、コンテナ・ターミナルの拡張がマングローヴ林の破壊に結びつくだろうということを学んで、湿地の保全が最大の課題だと決定。湿地を国の天然記念物として申請した。

◆.汽鵐螢奪絃学校 「グリーン・マシン」は宣戦布告する(1993年第3位)
 同校の自然保護グループ「グリーン・マシン」は、地域にあるスラム街の美化、整備に取り組んだ。その地域は、給食計画、南アフリカ麻薬局への訪問、清掃活動などの利益を受けた。最も重要な活動は、公園のレイアウト、植樹、「廃棄物とのたたかい」のためのデモへの参加、などである。

 ルーカス・マイヤー小学校  きれいな川はきれいな水を求める(1993年第2位)
 渇水と給水制限をきっかけに、同校の生徒たちは、身の回りの水を新しい視点から見はじめた。ダムを調査することで水の供給について調べ、多くの湿地(川の水系に大きく影響する)の水のサンプルを調べた。意識向上キャンペーンの中で、下水道の閉塞やゴミ投棄といった問題をとりあげ、将来はすべての地域住民をまきこもうと計画している。

ぁ.ΕД襯灰犢駝嘘惺察 ,錣譴蕕亮消 ― 無視から再生へ(1993年優勝)
 彼らは湿地の回復をテーマにした。当初のねらいは、湿地を調査し、絶滅した固有の野生植物の回復という方策をとることだった。野火、ゴミ投棄、水質汚染、工業廃棄物が問題として浮かび上がった。意識向上キャンペーンが繰り広げられ、市当局なども活動に参加。ポスターコンクールを行い、リーフレットや花の種を配った。またテレビやラジオの番組にも出演した。


(2)高等教育

 .凜 璽觜盥察 ー消論限峽呂稜鵬に関して(1990年優勝)
 1990年、生態系保全部門で優勝した同校の環境クラブは、新しいハイウェイが湿地にどういう影響を与えるか調査した。それだけでなく、どうやってそのルートが決められたか、および地域住民への影響も調べた。新しい道路付近の住民にアンケート用紙が配られ、多くの人々は植物の絶滅、鳥や動物の減少について述べた。生徒たちの活動の結果、ルート変更が検討された。

◆.汽愁襯弌璽姐盥察 |楼茲任離螢汽ぅリング(1993年第3位)
 同校の環境グループは地域での効果的なリサイクリング計画を開始した。現在70名が参加し、将来もっと広げるつもりでいる。ゴミを「ドライ」(プラスチック、空き缶、紙、ガラス製品)と「ウエット」(その他の生ゴミなど)にわけて、「ドライ」はリサイクリングし、「ウエット」はそのまま捨てるのだ。

 メンローパーク高校  害虫駆除のもう一つの方法(1993年第2位)
 同校の「かまきり」チームは殺虫剤の問題に取り組んだ。彼らは特に「害虫駆除のもう一つの方法」に集中した。徹底的な調査の結果、雑草やルーバーブの葉から殺虫剤を作り、93年の「若い科学者のための全国博覧会」で金メダルを獲得した。
 4年間の成果は本にまとめられている。また、意識向上キャンペーンも行い、いくつかの鉄則を明らかにした。

ぁ.僖ぅ鵐織Ε鹵忙匚盥察 ―舷紂蔽水池周辺)地域の保全(1993年優勝)
 同校の「集水地域保全」グループは、堤防の保全と貯水池周辺の若者の教育をねらった。地域をまきこむための最初のアイディアはうまくいかず、どうすれば地域になじむか、研究せねばならなかった。例えばある地域では、固有の木を植えたり浸食された溝を埋めたりする活動より、菜園や識字活動の方が重要だとわかった。
 意識の低さ、土壌浸食、洪水の危険性などの問題についても調べ、国会に対して、「集水地域の保全のためのネットワーク」の必要性をアピールしようとしている。
 堤防を浸食から守るため、彼らが育てた木を植え、洪水を防ぐためにタイヤを埋め込んだ。さまざまなワークショップや展覧会が行われ、人々は環境保全のための実際的な方法を学んだ。



4.結論


 毎年10月ごろ行われる全国若者シンポジウムは、一連の環境コンペの頂点に位置する。若者たちは、子孫のために環境を守る必要があるという意識を高めることを目標に、全国から集まってくる。年間を通して、生徒たちは各地域で競争し、各地域での優勝者が、この年一度のイベントに参加するのだ。ある少数グループの意識を高めることで、メッセージは学校や地域に広がってゆき、やがて波紋のように全国に広がってゆくだろう。熱意以外に何も持たない若者たちが、わずかな費用でこれだけのことをやってのけるのなら、われわれ大人にそれ以上のことができないはずがあろうか。
 疑いもなく、これらのコンペは、若者の動機づけに役立ち、永続可能な社会のための力強い貢献となるのである。


(訳・堀克祐/釘宮延恵)

プリンタ用画面
前
第8分科会「地球時代の環境教育」基調報告 環境変化の新段階と環境教育  和田武
カテゴリートップ
1994集会
次
分科会代表者の問題提起

コンテンツメニュー
(C)Copyright 2006 - Sustainable Society Network. All Rights Reserved.  [ サイトマップ | お問い合わせ | ログイン ]