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*** コラム:サステイナブル・ディベロップメントの日本語訳 ***



Sustainable Development(略してSD)には、現在、さまざまな訳語が行われている。サステイナブルには「持続的」、「持続可能な」、「永続可能な」、「維持可能な」、またディベロップメントには「開発」、「発展」があり、人によって両者が気ままに組み合わせて使われるために、SDには多くの日本語が出現してややこしい。現在は政府関係の文書が「持続可能な開発」を使うために、これにならう人が多い。


「環境と開発に関する世界委員会」の報告"Our Common Future"が公にされたころには、その基本概念SDは「持続的開発」と訳されていた。政府関係の文書でもこうだった。しかし本文中にも書かれているが、この訳語では、全く逆方向の異なる概念「持続的成長」と誤解されるとされたためであろうか、やがて政府関係文書では「持続可能な開発」が用いられるようになった。


10月に計画されている「永続可能な社会をつくる市民・研究交流集会2004」の前身、「第1回サステイナブル・ソサエティ全国研究交流集会」(1994年神戸)の実行委員会では、SDの訳語について多くの議論が行われている。サステイナブルについては「持続的」は論外「持続可能な」も「今日から明日へとつづけばよいというものではないだろう、いつまでもつづかせなければ」という思いから否定され「永続可能な」に異論は生まれなかった。


しかしディベロップメントを「開発」とするか「発展」とするかでは、簡単には結論が出なかった。後者の支持者は「開発は悪」と考えてきた公害反対運動の雰囲気に配慮して「発展」を主張した。"developing country"を「開発途上国」ではなく「発展途上国」とするのと同じ発想である。一方前者の支持者は「公害が生まれるのは開発のあり方が悪いからだ。開発行為(文明の名による未来構築)そのものに罪があるわけではない」「『よくなる』という語感を含む『発展』では、SDという概念が自己矛盾を来す」として反対した。そこで実行委員会は、結局IUCNのアドバイス(本文参照)にしたがってディベロップメントをソサエティに置きかえ、サステイナブル・ソサエティを集会名に採用した。


ちなみに上記94年集会のころ、日本弁護士連合会が、サステイナブル・ディベロップメントは「永続可能な発展」と訳すと組織決定している。そのことには、94年集会の事務局長をつとめ、同時に日弁連の公害委員長だった故西村忠行弁護士が役割を果たした。このような事情があって、弁護士のあいだでは、いまでも「永続可能な発展」を使う人が多く見られる。なお2004年集会実行委員会が「永続可能な社会」を採用したのには、できればカタカナ語を使うのはやめたいという配慮があった。また「持続可能な開発」という政府用語にもかかわらず、ことに関西では、10年来「永続可能な開発」を使い慣れている人々が、かなりいるためでもある。


(林)


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